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大王製紙株式会社
環境にやさしい『紙』エリプラシリーズ


プラスチックを紙で代替、"プラスマ"を実現


●取り組み内容を教えてください。


大王製紙は脱プラ・減プラ製品として、「FSエリプラペーパー」「FS-RPSペーパー」「ヒートシール紙」などの紙の包材製品を開発・製造してきました。2022年2月にこれらの包材製品を「エリプラシリーズ」として統一、新たなブランドとして立ち上げました。


「エリプラ」の名前の由来は、「Eliminate Plastic(脱プラスチック)」の頭文字で、脱プラ・減プラに貢献する製品となっています。


●取り組みにつながったきっかけを教えてください。


当社は「世界中の人々へ やさしい未来をつむぐ」という経営理念のもと、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に取り組んできました。一方、大量のプラスチックごみが海洋環境に深刻な影響を及ぼしていることは、多くの人がご存知の通りです。当社でもその課題解決に貢献できないかと考え取り組んだのが、プラスチックの代替となる紙の開発・製造でした。


紙にプラスチックがもつ優れた機能をプラスし多用途に


●「エリプラ」の特長を教えてください。


プラスチック代替として使用できるよう、紙に強度、耐水性、耐油性、耐摩耗性、ヒートシール性など、製品ごとにさまざまな機能を持たせています。ラインナップを徐々に増やし、現在19製品を展開。製品構成はプラスチック代替とフィルム代替に大別されます。


例えば、プラスチック代替製品の「FSエリプラペーパー」は、最大で1.3㎜の厚さがあり単独でプラスチック同等の剛性をもちます。これはハンガーや化粧品のスパチュラなどに使用できます。


また「FSエリプラ+(プラス)ナチュラル」という製品は、表裏層に耐油性、全層に耐水性を付与しており、断面や折り目で油染みを防止する機能があります。水分や油分にもある程度耐えられるため、お弁当容器、テイクアウトボックスなどに使用可能です。


フィルム代替製品としては、例えば、「FSエリプラヒートシールバイオ」があり、植物由来・生分解性のあるヒートシール剤を使用し、また印刷適性が高いため、従来のフィルムパッケージの代替として使用できます。


ほかにも食品、日用品などの包装用で高い強度をもつ「FSエリプラライト」、パンなどの包装に使える通気性の高い「FSエリプラヒートシールライト」などもあります。


■左から、「エリプラフック」「エリプラミニハンガー」




私たちの身近にある「エリプラシリーズ」


●「エリプラシリーズ」として統一ブランド化した目的・成果は何ですか?


当社は全国各地に工場・関連会社をもち、各工場に技術開発部員が駐在し、製品を開発・展開してきました。脱プラ・減プラ製品のラインナップが増えてきた中、「エリプラシリーズ」として統一することで、製品ごとの機能・特性を整理でき、よりお客様に提案しやすくなりました。また、お客様にとっても、用途に合わせてどんな製品が適しているかわかりやすくなり、新たな需要の発掘にもつながっています。


●実際にどんなところで「エリプラシリーズ」が使われていますか?


例えば、株式会社ドトールコーヒー(東京都)が展開するコーヒーショップとカフェでは、当社の紙製マドラー「エリプラマドラー」を使用していただいています。それによりドトールコーヒーでは年間5.7トン(2020年実績)のプラスチック削減につながったそうです。



また、株式会社不二家(東京都)は、ミルキーの外袋をフィルムから当社の「FSエリプラライト」に変更いただきました。パッケージでは有限会社日之出本店(徳島県)のぶどう饅頭の包材も当社の「FS エリプラヒートシール」です。


ほかにも「大王製紙」の社名は出てこなくても、皆さんの身近なところで「エリプラシリーズ」が使われる場面は増えているかなと思います。


プラ代替の選択肢が増えたことで顧客の環境取り組み促進に貢献


●取り組みをしてよかったと思うのはどんなことですか?


会社として持続可能な社会の実現に貢献できたことです。もともと紙は、リサイクル性・生分解性に優れ、また原材料が木ですのでカーボンニュートラルにも貢献し、環境にやさしいものです。今回、プラスチック代替として紙が活用されることで、さらにプラスチック削減にもお役に立てるのはうれしいことです。


最近はSDGsの観点からも、企業は環境への取り組みが強く求められています。サプライチェーンにも配慮した「エリプラシリーズ」を提案することで脱プラ・減プラの選択肢が増えて、お客様の地球環境への取り組みに弊社が協力できればと思っています。実際にお客様から、「これを紙で代替できないか」というお声をいただくことが増えてきました。


■「エリプラシリーズ」のその他の環境性能

植林により原料(木材)の再生産が可能で、カーボンニュートラルにも貢献



●このような取り組みを他の企業・団体が真似したいと考えた時、「こうすればうまくいくよ!」というアドバイスはありますか?


おこがましいかもしれませんが、自社の強みが何かを理解した上で、どうすればその強みが社会や地球環境に貢献できるか、常に考えて、いろいろな可能性を追求して行動に移していくことが大事だと、私自身は考えています。


紙は一層だけではなく、何層も重ねたり、層ごとに使う紙を変えたりして、用途に応じた多様なアイテムを作り出すことができます。さらに原材料の見直し、生産方法、加工方法の検討など、技術、グループのネットワーク、経験などを総動員して開発に取り組んでいます。


「エリプラシリーズ」は、従来の紙のイメージでは使えなかった用途で活用いただけるようになりました。また、「こういうものも紙で代用できないか」という新たなアイデアを多くいただいています。当社としても新しい紙の可能性を広げ、持続可能な社会の実現に向け、引き続き貢献していきたいと思っています。


お話:大王製紙株式会社 

技術開発部商品開発グループ 佐々木 潤さん、加藤伸一郎さん