様々な取組の中から、
特にプラスマ事務局が注目する方々に取材を行い、
多種多様なプラスチックとの関わり方をご紹介します。
環境省 プラスチック・スマート
「プラスチック・スマートシンポジウム2024」を開催しました!
令和6年2月10日(土)、愛媛県今治市のみなと交流センター「はーばりー」で、「プラスチック・スマートシンポジウム2024」を開催しました。
当日は天候にも恵まれ、会場には今治市民を始め、150人以上が参加しました。
【プラスチック・スマートシンポジウム2024の開催内容】
■開催目的
環境省では、海洋プラスチックごみ問題の解決に向けて、海洋プラスチック汚染の実態を正しく理解し、不必要なワンウェイのプラスチックの使用削減や代替品の開発・利用及び分別回収・リサイクルに取り組むことなど、"プラスチックとの賢い付き合い方"を全国的に推進する「プラスチック・スマート」を展開しています。
また、環境省では、自治体と企業が連携した海洋ごみ対策を推進するローカル・ブルー・オーシャン・ビジョン推進事業を実施しています。
これらの効果的な取組事例を全国に広げていくことを目的とし、シンポジウムを開催しました。
■開催概要
日時:令和6年2月10 日(土)13:00 ~ 16:00
場所:みなと交流センター「はーばりー」(愛媛県今治市片原町1丁目100番地3)
主催:環境省
■プログラム
(1)開会挨拶
藤井 好太郎(環境省水・大気環境局 海洋環境課 海洋プラスチック汚染対策室長)
(2)歓迎挨拶
徳永 繁樹 氏(今治市長)
(3)基調講演
藤井 好太郎(環境省水・大気環境局 海洋環境課 海洋プラスチック汚染対策室長)
「海洋プラスチックごみ問題の現状と取り組みについて」
(4)ローカル・ブルー・オーシャン・ビジョン採択自治体取り組み事例発表①
広島県、京都府、和歌山県和歌山市
(5)パネルディスカッション(第1部)
テーマ:「海洋プラスチックごみ問題への関心の集め方について」
(6)今治市の学生・市民団体発表
ローカル・ブルー・オーシャン・ビジョン採択自治体取り組み事例発表②
愛媛県今治市、SF キーパーズ、ビーチクリーンしまなみ
(7)ローカル・ブルー・オーシャン・ビジョン採択自治体取り組み事例発表③
三重県度会町、福岡県吉富町
(8)パネルディスカッション(第2部)
テーマ:「地域住民の参加の拡大や取り組みの継続のためには」
(写真)今治市長による歓迎挨拶
シンポジウムでは、企業等と連携して海洋ごみの回収・発生抑制対策等のモデル事業を実施する自治体(ローカル・ブルー・オーシャン・ビジョン採択自治体)が取組事例を発表。地域一体を巻き込みながら「スポーツ×海洋プラスチック」によるアクションプロジェクトに取り組む広島県、廃棄されるペットボトルを「西陣の織物」にアップ・リサイクルする仕組みの構築を目指す京都府、キャラクターである「ウミプラー」を活用した海洋ごみの発生抑制対策の展開を図る和歌山市の取組が紹介されました。
事例の発表後には各自治体によるパネルディスカッションを実施、「海洋プラスチックごみ問題への関心の集め方」をテーマに、いかに市民を巻き込むか、どう自分事として捉えてもらうか等、活発な意見交換がされました。
(写真)取組事例の発表(広島県)
シンポジウムの後半では、開催地である今治市と学生・市民団体が登壇。自主的に清掃活動を行っている今治市湊・大新田海岸近隣住民と地域海岸への愛情を深めるプロジェクトに取り組む今治市、地元海岸の白砂青松保存プロジェクトに取り組む今治東中等教育学校SFキーパーズ、ビーチクリーンを通して人と人をつなげるビーチクリーンしまなみの活動が紹介されました。
(写真)取組事例の発表(今治東中等教育学校SFキーパーズ)
続いて、ローカル・ブルー・オーシャン・ビジョン採択自治体である度会町(三重県)、吉富町(福岡県)が登壇。SNSを活用した情報発信に取り組む度会町、アップサイクルワークショップに取り組む吉富町が、子ども達に向けた啓発を通じた家族や地域への波及を狙った事例を発表しました。
最後のプログラムでは、「地域住民の参加の拡大や取り組みの継続のためには」というテーマでパネルディスカッション第2部を実施。若い世代への情報発信や地域への愛着醸成等の取り組み事例を交えながら、活動を継続することの重要性について議論しました。
(写真)パネルディスカッション第2部の様子
さまざまな地域の自治体、市民団体等による取り組み事例やパネルディスカッションを通じて、プラスチックとの賢い付き合い方について発信した「プラスチック・スマートシンポジウム2024」。会場内の参加者も含めて活発な意見が飛び交い、盛況のうちに閉会しました。
環境省 プラスチック・スマート
「プラスチック・スマートシンポジウム2023」の開催をしました。
■ 開催概要
日 時:令和5年2月13日(月)13:00 ~ 16:30
場 所:広島県民文化センター
(広島県広島市中区大手町1丁目5-3)
主 催:環境省
■ 開催目的
環境省では、海洋プラスチックごみ問題の解決に向けて、海洋プラスチック汚染の実態を正しく理解し、不必要なワンウェイのプラスチックの抑制や代替品の開発利用、使用したプラスチックについてはポイ捨てせずに分別回収・リサイクルを徹底することなど、そうした"プラスチックとの賢い付き合い方"を全国的に推進する「プラスチック・スマート」を展開しています。「プラスチック・スマート」の効果的な取組を全国的に創出・推進していくことを目的とし、シンポジウムを開催いたしました。
■ プログラム
(1)開会挨拶
小野 洋(環境省地球環境審議官)
(2)基調講演
海野 光行(公益財団法人日本財団常務理事)
「包括的海洋ごみ対策プロジェクト『オーシャンズX』について
~エビデンスやデータ、ステークホルダー連携の重要性~」
(3)海洋環境施策説明
杉本 留三 (環境省水・大気環境局水環境課海洋環境室長)
(4)先進的な取り組み事例紹介
広島県、大阪府、岡山県、北九州市
(5)プラスチック・スマート優良事例アワード
(6)パネルディスカッション(第1部)
テーマ:「プラスチック・スマートで新たなアクションを」
(7)パネルディスカッション(第2部)
テーマ:「プラスチック・スマートの原動力となる人づくりとネットワーク」
四日市市
よっかいち海ごみゼロ大作戦!! 2022
市民参加の海岸清掃活動で海ごみ問題啓発
●取り組み内容を教えてください。
四日市市は令和4年10月2日(日)、海洋プラスチックごみ問題啓発を目的に、市民団体や地域の皆さんと協力し、吉崎海岸の清掃活動「よっかいち海ごみゼロ大作戦!! 2022」を行いました。この活動は令和3年から始め、2回目になります。
●取り組みにつながったきっかけを教えてください。
四日市市は、東は伊勢湾に面し、海沿いに市街地、内陸に田園や鈴鹿山脈が広がる、自然が豊かで変化に富んだまちです。昭和30年代~40年代は四大公害病の一つ、四日市ぜんそくの問題がありましたが、市民、事業者、行政が力を合わせ乗り越え、今はきれいな空を取り戻しています。
こうした過去を踏まえ、本市は環境に対し高い意識をもっており、海洋プラスチックごみ問題への取り組みにも力を入れているところでした。
吉崎海岸は市内で唯一、砂浜が残っており、ハマヒルガオなどの貴重な海浜植物やシロチドリなどの野鳥、ウミガメなど多様な動植物が見られるほか、釣りスポットとしても親しまれています。
吉崎海岸では平成21年から、NPO法人四日市ウミガメ保存会と楠地区の皆さんによる清掃活動が行われており、現在も毎月1回・年12回清掃活動をしていただいています。そのうちの1回に四日市市がご一緒させていただき、令和3年に始まったのが「よっかいち海ごみゼロ大作戦!!」です。
勉強会や啓発グッズ、体験で、海プラ問題への興味・理解を深める
●当日の活動内容を教えてください。
当日のスケジュールは
8時 開会式
8~9時 清掃
9~10時 勉強会とパッカー車体験
10時 終了
当日は370人が参加し、ペットボトルやその他のごみ、流木など、約2トンを回収しました。
清掃活動の後は、四日市大学教授による海洋プラスチックごみ問題に関する勉強会を行いました。海洋プラスチックごみやマイクロプラスチックは何が問題なのか。また、それが生態系、さらに自分たちの生活や体にどのような影響があるのかといったことを、小学生にもわかるようなやさしい言葉でお話をしていただきました。
また、パッカー車(ごみ収集車)を会場に用意し、回収したごみをパッカー車に入れる体験も行いました。「働く車」を近くで見ることができ、お子さん・保護者たちに大変好評でした。
●勉強会やパッカー車の協力はどのようにして得たのですか?
海岸清掃後の勉強会は、もともとNPOと地域の皆さんの清掃活動の時から行っていたもので、「よっかいち海ごみゼロ大作戦!!」でもお願いしました。
また、四日市市の清掃事業は市直営で行っているため、パッカー車、運転手、作業員は自前で準備しました。パッカー車は、興味を引く「つかみ」として大変有効でした。
●市民の取り組みに市が協働したことで、清掃活動がどのように変わりましたか?
一つめは、先に述べたパッカー車体験が加わったことです。
二つめは、啓発グッズ制作です。市のマスコットキャラクター「こにゅうどうくん」があしらわれた大人用と子ども用のゴム手袋とマスクを用意し、参加賞として当日配布。これが大変好評でした。また生分解性プラスチックを25%配合した専用のごみ袋を用意しました。
令和3年の活動では子ども用手袋とパッカー車体験はありませんでしたが、令和4年から取り入れました。
三つめは、広報・啓発活動です。市の広報誌、地区市民センターで案内チラシを置くなど、行政らしい情報発信をすることで、大変多くの方に参加していただくことができました。
既存の活動に市が協働することで効率的・効果的に啓発
●取り組みを成功させるポイントは何でしょうか?
社会でプラスチックごみ問題がクローズアップされる中、その課題解決のために行政ができることといえば、市民への情報発信と啓発であり、逆に言えばそれしかできないともいえるでしょう。では、情報発信・啓発をどのように行うかを考えた時、行政がゼロから施策を構築するよりも、既存の優れた取り組みをしている方々と協働させていただく方が、効率的、効果的で意義のある施策になる。そう考え、四日市市の方からNPOと地域の皆さんに協働をお願いしました。
NPOと地域の皆さんによる清掃活動の参加者は、おおむね100~150人と伺っております。今回、「よっかいち海ごみゼロ大作戦!! 2022」の参加者は370人となり、過去最高となりました。この点をとらえますと、グッズ制作、広報活動といった取り組みやPRの成果はあったと思います。ただしその数字は、もともとの活動のベースがあったからこそで、天狗になってはいけないと思っています。私たちの活動は年1回ですが、NPO、地域の皆さんは年12回、休まずやっているわけですから。
●今後、「よっかいち海ごみゼロ大作戦!!」でやってみたいことは何ですか?
「よっかいち海ごみゼロ大作戦!!」は令和5年も継続して行う予定です。具体的な内容はこれから決めていきますが、四日市市が実施している他の施策も含めて、ごみの減量を広く啓発できないか考えています。たとえば、四日市市では食品ロスにも力を入れて取り組んでおり、四日市市の市の鳥「ゆりかもめ」をモチーフに生まれた「ゆりゾー」という食品ロス削減啓発キャラクターを売り出し中です。「こにゅうどうくん」と「ゆりゾー」をコラボレーションさせて今までに無かった新しい取り組みにつなげていきたいと思います。
市民の潜在意識の掘り起こしこそ行政がすべき役割
●今回の取り組みで市民の意識はどのように変化しましたか?
参加した方からは、「ごみ拾いは大変だと思っていたが、楽しかった」「海岸がきれいになって気持ちがいい」「次回も参加したい」という前向きなご意見をいただきました。また、「こにゅうどうくんグッズに惹かれて参加したけど、こんなにも海岸にごみがあることに驚いた」という声もありました。それを受け、環境や海洋プラスチックごみ問題に対し、何か活動したい、自分も力になりたいと考える市民は、私たちが思うより潜在的に存在しているという思いを強くしました。
環境やごみ問題への意識の醸成も大切ですが、その前に、市民が潜在的にもっている気持ち、意識を掘り起こしたことが、今回の取り組みの成果であり、行政として非常に意義のあることだったと思います。気楽に取り組んでいただける、自主的に参加できる仕組みを作ることが、今後も行政に求められると思います。
●このような取り組みを他の自治体が真似したいと考えた時、「こうすればうまくいくよ!」というアドバイスはありますか?
海洋プラスチックごみ問題は、行政だけで取り組むのは難しいところがあり、四日市市の場合はNPOと地域の皆さんの既存の活動に"乗っからせて"いただき、広報・グッズ制作など行政ができる役割をすることで市民や企業を巻き込んだ大きな活動にすることができました。同様に、どの地域にも意欲的に活動する市民や、地域貢献に熱心な事業者の方がいらっしゃると思います。そういった方々と協働・連携することで、より多様で幅広い層にアプローチできると思います。
また、清掃活動に勉強会やパッカー車体験という付加価値が加わったことで、海洋プラスチックごみ問題への興味・理解を深めることができました。こうしたアイデアは他の自治体や団体も活用できると思います。自治体によってはごみ収集業務を民間に委託しているところもありますが、民間事業者さんも、ごみの減量や環境問題には高い意識をお持ちだと思います。行政が「ごみの減量や環境問題の解決のために力を貸してほしい」とお願いすれば、快く応じてもらえるのではないでしょうか。
お話:四日市市環境部参事兼生活環境課長 中山 憲治さん
大王製紙株式会社
環境にやさしい『紙』エリプラシリーズ
プラスチックを紙で代替、"プラスマ"を実現
●取り組み内容を教えてください。
大王製紙は脱プラ・減プラ製品として、「FSエリプラペーパー」「FS-RPSペーパー」「ヒートシール紙」などの紙の包材製品を開発・製造してきました。2022年2月にこれらの包材製品を「エリプラシリーズ」として統一、新たなブランドとして立ち上げました。
「エリプラ」の名前の由来は、「Eliminate Plastic(脱プラスチック)」の頭文字で、脱プラ・減プラに貢献する製品となっています。
●取り組みにつながったきっかけを教えてください。
当社は「世界中の人々へ やさしい未来をつむぐ」という経営理念のもと、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に取り組んできました。一方、大量のプラスチックごみが海洋環境に深刻な影響を及ぼしていることは、多くの人がご存知の通りです。当社でもその課題解決に貢献できないかと考え取り組んだのが、プラスチックの代替となる紙の開発・製造でした。
紙にプラスチックがもつ優れた機能をプラスし多用途に
●「エリプラ」の特長を教えてください。
プラスチック代替として使用できるよう、紙に強度、耐水性、耐油性、耐摩耗性、ヒートシール性など、製品ごとにさまざまな機能を持たせています。ラインナップを徐々に増やし、現在19製品を展開。製品構成はプラスチック代替とフィルム代替に大別されます。
例えば、プラスチック代替製品の「FSエリプラペーパー」は、最大で1.3㎜の厚さがあり単独でプラスチック同等の剛性をもちます。これはハンガーや化粧品のスパチュラなどに使用できます。
また「FSエリプラ+(プラス)ナチュラル」という製品は、表裏層に耐油性、全層に耐水性を付与しており、断面や折り目で油染みを防止する機能があります。水分や油分にもある程度耐えられるため、お弁当容器、テイクアウトボックスなどに使用可能です。
フィルム代替製品としては、例えば、「FSエリプラヒートシールバイオ」があり、植物由来・生分解性のあるヒートシール剤を使用し、また印刷適性が高いため、従来のフィルムパッケージの代替として使用できます。
ほかにも食品、日用品などの包装用で高い強度をもつ「FSエリプラライト」、パンなどの包装に使える通気性の高い「FSエリプラヒートシールライト」などもあります。
■左から、「エリプラフック」「エリプラミニハンガー」
私たちの身近にある「エリプラシリーズ」
●「エリプラシリーズ」として統一ブランド化した目的・成果は何ですか?
当社は全国各地に工場・関連会社をもち、各工場に技術開発部員が駐在し、製品を開発・展開してきました。脱プラ・減プラ製品のラインナップが増えてきた中、「エリプラシリーズ」として統一することで、製品ごとの機能・特性を整理でき、よりお客様に提案しやすくなりました。また、お客様にとっても、用途に合わせてどんな製品が適しているかわかりやすくなり、新たな需要の発掘にもつながっています。
●実際にどんなところで「エリプラシリーズ」が使われていますか?
例えば、株式会社ドトールコーヒー(東京都)が展開するコーヒーショップとカフェでは、当社の紙製マドラー「エリプラマドラー」を使用していただいています。それによりドトールコーヒーでは年間5.7トン(2020年実績)のプラスチック削減につながったそうです。
また、株式会社不二家(東京都)は、ミルキーの外袋をフィルムから当社の「FSエリプラライト」に変更いただきました。パッケージでは有限会社日之出本店(徳島県)のぶどう饅頭の包材も当社の「FS エリプラヒートシール」です。
ほかにも「大王製紙」の社名は出てこなくても、皆さんの身近なところで「エリプラシリーズ」が使われる場面は増えているかなと思います。
プラ代替の選択肢が増えたことで顧客の環境取り組み促進に貢献
●取り組みをしてよかったと思うのはどんなことですか?
会社として持続可能な社会の実現に貢献できたことです。もともと紙は、リサイクル性・生分解性に優れ、また原材料が木ですのでカーボンニュートラルにも貢献し、環境にやさしいものです。今回、プラスチック代替として紙が活用されることで、さらにプラスチック削減にもお役に立てるのはうれしいことです。
最近はSDGsの観点からも、企業は環境への取り組みが強く求められています。サプライチェーンにも配慮した「エリプラシリーズ」を提案することで脱プラ・減プラの選択肢が増えて、お客様の地球環境への取り組みに弊社が協力できればと思っています。実際にお客様から、「これを紙で代替できないか」というお声をいただくことが増えてきました。
■「エリプラシリーズ」のその他の環境性能
植林により原料(木材)の再生産が可能で、カーボンニュートラルにも貢献
●このような取り組みを他の企業・団体が真似したいと考えた時、「こうすればうまくいくよ!」というアドバイスはありますか?
おこがましいかもしれませんが、自社の強みが何かを理解した上で、どうすればその強みが社会や地球環境に貢献できるか、常に考えて、いろいろな可能性を追求して行動に移していくことが大事だと、私自身は考えています。
紙は一層だけではなく、何層も重ねたり、層ごとに使う紙を変えたりして、用途に応じた多様なアイテムを作り出すことができます。さらに原材料の見直し、生産方法、加工方法の検討など、技術、グループのネットワーク、経験などを総動員して開発に取り組んでいます。
「エリプラシリーズ」は、従来の紙のイメージでは使えなかった用途で活用いただけるようになりました。また、「こういうものも紙で代用できないか」という新たなアイデアを多くいただいています。当社としても新しい紙の可能性を広げ、持続可能な社会の実現に向け、引き続き貢献していきたいと思っています。
お話:大王製紙株式会社
技術開発部商品開発グループ 佐々木 潤さん、加藤伸一郎さん
株式会社エルコム
「プラ漁具を自らで再資源化」取組に賛同~愛南漁業協同組合へプラ再資源化装置導入~
地域で出る廃プラを地域で循環させる仕組み
● 取り組み内容を具体的に教えてください。
愛媛県愛南町の愛南漁業協同組合と協働し、当社のプラスチック再資源化装置「e-PEPシステム」を導入。漁業で排出する発泡スチロール製ブイ(フロート)などの廃プラを減容・圧縮。さらにペレット化してクリーンエネルギーに再生し愛南町で活用する取り組みです。地域の基幹産業で出る廃プラを地域のエネルギー減として有効利用することで、サステナブルな産業・地域を目指しています。
●取り組みにつながったきっかけを教えてください。
当社は「地球と人間環境改善から未来をつくる」という事業方針のもと、圧縮・減容機械などの開発、エネルギー事業を展開しています。その一環で、海洋環境、生活環境に影響を与えている日本沿岸に漂着するプラスチックと、海洋への流出原因となる企業活動よって排出される産業プラスチック、2つの発生元で両方を有効利用することで海洋汚染防止を目指す「クリーンオーシャンプロジェクト2050」を2007年にスタートしました。
■クリーンオーシャンプロジェクト2050
プロジェクトでは全国各地の漁協などで10年間にわたり実証実験を行い、フロートを1/10に、さらにそれをペレット化し1/40まで圧縮する技術を確立しました。
さらに、そのペレットを燃料に温水と蒸気のクリーンエネルギーを作り出す技術を開発。「粉砕・圧縮➡ペレット化➡クリーンエネルギー化」の一連のシステムが「e-PEPシステム」です。
■e-PEPシステム
●愛南漁協の課題は何でしたか?
愛南町は漁業を基幹産業とする町です。愛南漁協は豊かな養殖海場をもち、養殖真鯛は全国生産量の約20%を占め日本一。しかし、年間約8000個排出されるフロートの処理が課題となっていました。以前は地域外で大型集中回収して処理していましたが、高い処理費用が漁業者の負担になり持続性が難しい状況でした。
愛南漁協と生産者は豊かな海と愛南町の産業を未来へつなぎたいという思いが非常に強く、持続可能な養殖業の実現のために、このフロートを何とかして循環をつくらないといけないという強い意識を持っていました。
また、国内大手企業や海外との取引も増えてきて、SDGsの観点からも、サプライチェーンとして環境への取り組みが求められていました。
廃プラの価値を最大化しクリーンエネルギーに再生
●取り組みに至るプロセスを教えてください。
愛南漁協の廃プラの課題を解決することに加え、廃プラの価値を最大化するために「e-PEPシステム」導入を提案しました。廃プラを圧縮・減容するだけでなく、ペレット化して、それを燃料にクリーンエネルギーに再生、町で利用してもらうことで、漁業から出る廃プラの価値を最大化する仕組みです。
現在は漁協で粉砕・圧縮➡ペレット化まで行っており、今後はこれを燃料にクリーンエネルギーをつくり、町で活用する予定です。
●廃プラから生産するクリーンエネルギーをどのように活用する計画ですか?
愛南町と漁協が共同で運営する海洋資源開発センターでは、アコヤ貝の稚貝の種生産を行っています。冬期に水槽を温めるために化石燃料によるボイラーと、電気による暖房を使用していますが、エネルギーコストが上がっており町の財政に影響を及ぼしています。
そこで「e-PEPシステム」でつくったクリーンエネルギーを代替活用・補填することでエネルギーコストを削減することに取り組んでいこうとしています。
それにより次のような効果が期待されます。
・約8000個のフロートからつくるクリーンエネルギーで町のエネルギーを補填
・海洋資源開発センターの電気代約500万円/年の削減
・外部委託していた廃プラの処分費用の削減(約1200万円試算)
■自社で出るプラごみをエネルギー化(イメージ)
●「分ける・戻す」ことにおいてどんな特徴・メリットがありますか?
海洋プラスチックごみは、異物や汚れがついていること、また単一素材ではないことからマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルするのが難しい。それに比べサーマルリサイクルでは洗浄・分別の手間が軽減されることです。「e-PEPシステム」ではフロートのポリスチレン、黒いブイの素材であるポリエチレン、ポリプロピレンもOK。多少の汚れや混合素材でも燃料として利用できます。
「戻す」に関しては、海洋プラスチックごみを燃焼することで炭酸ガスと水に分解されるクリーンエネルギーであること。また、装置自体がコンパクトなので導入しやすく、地域内に循環ループができるので、温室効果ガス発生の抑制効果もあります。
■e-PEPシステムのイノベーション 期待される効果
漁業者自らが課題解決に取り組んだことが町を巻き込む
●取り組みがうまく進んだポイントは何だと思いますか?
愛南の生産者さん、漁協の皆さんが、豊かな海と愛南町の基幹産業を守り、未来へつなぎたいという意識がとても高かったことだと思います。
ネガティブな存在だった廃プラを、その出し手である漁業者自身が課題解決に乗り出し、町で使うエネルギーへと有効活用する。愛南町の産業と町を持続させる取り組みとして町をも巻き込むことができました。
●取り組みによる副次的な効果はありますか?
愛南漁協・愛南町と私たちは今回の取り組みからさらに発展し、今後は旅行会社とも連携し、愛南町へのSDGs環境教育ツアーを実施することを計画中です。町ぐるみのリサイクルの取り組みが、県外から人を呼び込む資源になることを期待しています。
また、欧米など海外の取引先にも非常に高く評価されているようで、今後、取引が拡大することも期待できます。
ネガティブな廃プラをプラスに変換する発想
●このような取り組みを他の自治体や団体が真似したいと考えた時、「こうすればうまくいくよ!」というアドバイスはありますか?
愛南漁協の取り組みは、廃プラというネガティブなものをエネルギーというプラスの存在に変換する試みです。真似するとすれば、すでにあるネガティブなものをそれぞれの基幹産業と合体させる発想をしてみてはいかがでしょうか。
エネルギーはどんな産業・地域にも不可欠です。エネルギーコストが高騰している今、廃プラを最大限に有効活用しようと考え、基幹産業とくっつける発想は、漁業だけでなく、農業などさまざまな産業にも生かせるモデルだと思います。
お話:株式会社エルコム 代表取締役社長 相馬嵩央さん
弘前市
「アップサイクル推進に向けた連携・協力に関する協定」を締結
アップサイクルで市のクリーン活動に付加価値を
●取り組み内容を教えてください。
弘前市は、市内で発生するごみを有効活用することを目的に、令和4年、オンワード商事株式会社(本社:東京都。以下オンワード)、豊島株式会社(本社:東京都・愛知県。以下豊島)と協定を締結。「河川清掃活動などによる廃棄ペットボトル回収(弘前市)➡繊維・生地生産(豊島)➡アパレル製品化(オンワード)」というアップサイクルを推進するため、3者が協力・連携していきます。また、リンゴの加工残渣を使ったバイオマス製品の研究開発でも連携していきます。
●取り組みにつながったきっかけを教えてください。
弘前市は全国的に見てごみの量が多いことが課題となっていました。ごみは全市民・全事業者が出すもの。全ての人が関係者で、行政主導だけではなかなか解決しません。そこで弘前市ではごみの減量化・再資源化を目指して、市民、事業者と連携・協力し、締結を進めてきました。これまで約20の企業・団体との協力体制を構築しています。
豊島は、海や川、森などから回収したペットボトルなどの廃棄プラスチックからつくった繊維「UpDRIFT™(アップドリフト)」を開発、Tシャツや腕時計のバンドにアップサイクルしていること、オンワードが豊島のプロジェクトに賛同し「UpDRIFT™」を使った商品づくりに取り組んでいることを知りました。
弘前市でもペットボトルを拾うクリーン活動は各地で行ってきたので、「市民がクリーン活動に参加して拾ったものが、新しい商品になる」というストーリーはインパクトがありますし、クリーン活動に新しい価値が付加されることから、弘前市も協働したいと考えました。
市民の意識が変化。地元企業との連携も視野に
●協定締結後、どのような取り組みを行っていますか?
まずアップサイクルの啓発・周知において連携をスタートしています。
弘前市は広報活動に力を入れ、アップサイクル推進・ペットボトル回収を呼びかけています。
2022年夏に行った大規模なクリーン活動の際に両者の社員も参加し、中学校でアップサイクルについてレクチャーをしてもらいました。少しずつアップサイクルへの意識醸成が進み、市民や団体からペットボトルを持ち込んでいただいたりすることが増えてきました。
●どのようなアップサイクル商品の展開を考えていますか?
今後、回収量が増えてきてから具体化する予定です。豊島によると「UpDRIFT™」のTシャツの場合、プラスチック含有率は約10%、1枚のTシャツに約15本のペットボトルが使用されているそうです。弘前市では、例えば、「UpDRIFT™」で中学生の夏の制服としてポロシャツを製作するというアイデアが出ています。
また、今回の協定は、地元企業の新規事業の掘り起こしも目的としています。例えば、地元企業で集めたペットボトルを使って企業のユニフォームをつくるなど、地元事業者とのビジネスマッチング、新規事業の創出も図ります。
自治体と企業が連携することで取り組みが大きく進み、広がる
●自治体と企業が連携することの相乗効果は何でしょうか?
自治体だけでは技術面・アイデアが不足しており、事業化することは難しい。一方、企業だけでは地域住民・地元の事業者をうまく巻き込むのは難しい。自治体を挟むことで地域とのつながりができて理解・協力を得やすくなったと思います。双方が補い合うことで取り組みが進み、活動が大きく広がったと思います。
●連携するためのポイントは何だと思いますか?
現在、多くの企業がSDGsおよびESGへの取り組みを事業化しており、その事業を広めるために連携できる自治体を探していると思います。弘前市も、企業側からお声がけいただく機会が増えています。その中から、地域課題解決のために協働できる企業をいかに探すかが重要です。
そのためには、自治体の課題をパートナーと十分に共有することが大切でしょう。行政、企業、市民、地域事業者それぞれが課題を共有し、解決のためにできることをする関係を構築できれば、連携はうまくいくのではないかと思います。
まずは走り出しながら、柔軟に連携の形をつくり、広げていく
●このような取り組みを他の自治体が真似したいと考えた時、「こうすればうまくいくよ!」というアドバイスはありますか?
先に述べた通り、ごみの問題に関しては地域にいる全ての人が関係者なので、さまざまな意見・利害がからみ、行政だけでは解決が難しいことは、全国の自治体共通の悩みではないでしょうか。また、自治体は新しいことを始めるにあたり、道筋や完成形が見えないうちは進められないということが多いと思います。発想を変えて、まずは連携し走り出してから形にしていくという柔軟なスタンスも時には必要かなと感じます。
弘前市の場合、協定締結後に市・企業それぞれのネットワークが広がり、「私たちも協力したい」という協力者・賛同者が現れ始めています。そういった方々も巻き込みながら、より弘前市らしいアップサイクルの取り組みに発展することを期待しています。
お話: 弘前市環境課 成田 孝行さん
一般社団法人オーシャンスイープ協会
プラごみが流出する量より減る量が多い社会をつくろう
海をスイープ(掃除)しプラごみが減っていく未来をつくろう
● 取り組み内容を具体的に教えてください。
私たちは「プラごみが流出する量より減る量が多い社会をつくろう」という理念を掲げて活動する一般社団法人です。2018年から任意団体として活動を始め、海洋プラごみ問題がなぜ生じるのか、なぜ減らないのか、有識者や漁業関係者にヒアリングするなど予備調査を行い、2021年2月に法人化。内陸の方にも海の問題に関心を持っていただきたくて、あえて海のない埼玉県を拠点に活動をしています。
海洋プラごみを減らすには、「回収を進めること」「処分の仕方を変えること」「これ以上流出しないよう私たちが生活習慣を変えること」が必要と考え、3つの取り組みをすすめています。
1、プラごみ流出マップで社会啓発
2、海洋プラごみ処分チェーンを社会実装させる
3、流出防止や循環型社会に役立つ情報発信
「プラごみ流出マップ」ボランティアは全国に500人以上。ポイントは「無理やがまんをせずにできること」
●活動を広げるために、どのようなことをしていますか?
WebサイトやSNSで海洋プラごみの問題を情報発信し、私たちの取り組みを紹介した上で、一般の方には「無理やがまんをしなくてもできる」協力・活動として写真ボランティアへの参加、SNSでいいね!やシェアすることなどをお願いしています。また団体や企業には協賛、寄付、また海洋プラごみ処分チェーンへの参加などを募っています。
●「プラごみ流出マップ」について、内容と目的を教えてください。
全国の写真ボランティアに地元の川や海に流出している現場を撮影・投稿してもらい、地図に掲載・公開しています。一人でも多くの人に海洋プラごみ問題の現場を知ってもらい、「自分たちがごみを出さないよう生活習慣を変えていかなければならない」と気づいてもらうための取り組みです。
なぜ写真にしたのかというと、写真がもつリアリティーこそ行動変容を促す力になると考えたからです。鼻にストローが刺さったウミガメの写真を見たことがある方は多いと思います。言葉よりも、あの1枚の写真に多くの人々の心が動かされ、海洋プラごみ問題への意識を高めることができるのではないでしょうか。
私たちが全国の川や海に行って写真や動画を撮ることも考えましたが、膨大な時間とコストがかかります。そこで全国のボランティアに地元の写真を撮ってもらえば同時並行的に撮影が進み、全国の現場写真がスピーディーに集まると考えました。
現在、写真ボランティアは全国で約550人ですが、社会的な影響力を考えると1万人を超えていく必要があると考えており、参加が加速する何かしら「仕掛け」が必要だと考えています。その一つとして、高校生を対象に写真ボランティアの大会を開催することを計画中です。
●他の団体が貴団体の取り組みを真似したい場合、ボランティア活用は「こうしたらいいよ!」というアドバイスはありますか?
誰でも参加できるよう初手のハードルをできるかぎり低く設定し、それでいて参加している実感はあるように設計することが私たちの場合は効果がありました。写真ボランティアは、各自が時間や場所に縛られず参加できて、締め切りもありません。それに今はスマホで写真・動画を撮ることが日常の一部なので、外出先でプラごみを見かけたときに撮影するカメラがないという時代とは違います。ハードルの低さ、参加しやすさ、達成感や充実感を体感していただけるような、まずは「お試し体験」できる入口があるとよいと思います。
持続可能な海洋プラごみ処分チェーンとは
●海洋プラごみ処分チェーンとは、どのようなものをイメージしていますか?
漁業者が操業中に回収した海洋プラごみを陸に揚げて水抜きをし、熱分解できる設備を持つ協力企業に運び、マイクロプラスチックの原因にならないよう熱で分解する流れです。流れ自体はシンプルなのですが、複数の法律、回収・受け容れ・輸送体制などクリアすべき課題がたくさんあります。特に今ボトルネックになっているのは、チェーンに組み込める熱分解設備を確保すること。プラスチックを熱分解ができる設備は焼却炉を含めてたくさんありますが、「分別、塩抜きせずに処理できること」「環境負荷が少ないこと」「産業廃棄物処分業の許可証を取得できること」など、海洋プラごみ処分チェーンに組み込める、要件をクリアした設備や事業者は希少です。
私たちの調査では、半径150㎞圏内ごとに小さな処分チェーンをつくり、それを全国に増殖させていく方法がベターだと考えています。有効な技術や設備をお持ちの企業や、処分チェーンに参加してくれる団体などを広く発掘し、それらをつなげて、まずは1つモデルケースをつくるために取り組みを進めています。
SNS活用で発信コストを抑え、自走・持続可能な活動に
●SNSをどのように活用していますか?
非営利活動をする団体にとって、発信コストが抑えられるSNSはとても重要です。今はまだフォロワー人数が少ないですが当社団では、FacebookとTwitterとYouTubeチャンネルの運用を始めています。
過去情報を見返してもらうアルバム的なものとしてFacebook、時が過ぎれば流れてしまうけれど瞬間的な拡散力としてはTwitter、という使い分けをしています。
また、インターネット動画の約8割を占めるYouTubeの影響力は無視できないと思っています。次世代を担っていく人たちへの啓発効果を考え、これからYouTubeチャンネルは充実させていこうと考えています。
●「SNS活用はこうしたらいいよ!」というアドバイスはありますか?
フォロワー数万人を集めた個人的な経験を踏まえて申し上げれば、Facebookやtwitter以外にもインスタグラムやTik-Tokなどいろいろなプラットフォームの中で、自分たちの活動との相性や、自分たちが伝えたい層の反応を見ながらSNSを選別するプロセスを踏んだ方がいいと思います。まずは拡散的にいくつかのプラットフォームを半年程度試してみて、費用対効果やどれが自分たちに向いているかをつかみ、流入が多いものにリソースを集中させていくのがおすすめです。
●持続的に活動していくうえで大事なことは何でしょうか?
私たちのような非営利団体の活動には、ボランティア、寄付、協賛企業や団体など、多くの協力者が必要です。なるべく参加ハードルは低くしているとはいえ、手間も時間も、場合によっては費用もかかるわけですから、主催者である私たちは、参加してくれる方の納得や満足というリターンを十分に考えて活動を設計し、満足感を最高にするための「おもてなし」の心が必要です。
しかし、主催者が気負いすぎると継続できないでしょう。発注者・受注者のような上下関係ではなく、フラットなつながりの中で、それぞれ自分ができること、得意としていることをお互いに出し合う気持ち、イーブンな関係において、みんなで達成しその恩恵も全員が受け取るのだという共同体感覚が、自走・持続的な活動には大切だと思います。
お話:一般社団法人オーシャンスイープ協会 細田 正幸さん
葉山町
【news】3/26 葉山町×カシオ計算機連携協定締結!
プラスマ自治体・企業マッチングによる連携の第一弾が実現。
葉山町とカシオ計算機株式会社は、プラスチック・スマートでの提携として、「プラスチックごみ削減のための連携に関する協定」を締結、令和3年3月26日(金)に協定調印式を実施されました。本協定を締結されたことで、海洋プラスチックごみ問題の解決に向けた、プラスチックごみ削減取組の相互連携とより一層の推進が図られることが期待されます。
また、環境省では、今回の締結を起点として全国で同様の取組が拡がるよう施策展開を図ります。
カシオ計算機㈱ニュースリリース
https://www.casio.co.jp/release/2021/0323_lateco/
小泉環境大臣からのメッセージ
本日、カシオ計算機株式会社と葉山町のプラスチックスマート連携協定が実現しましたことを、心からお慶び申し上げます。今回葉山の町役場などで、テープの詰め替え方式によりプラごみを約97%も減らせるラベルライターを率先して使い、効果の検証もされる、とうかがいました。これは、企業のプラごみ削減技術と行政の率先実行による素晴らしい連携プレーと言えます。葉山町から私の地元横須賀・三浦を含めた三浦半島全体に取組が広がって行くことも期待しています。葉山町は、3月18日に、2050年までの実質ゼロカーボンを目指すことを宣言されました。環境省としても、脱炭素のモデルケースを各地に創り出し、次々と先行地域を広げていく地域「脱炭素ドミノ」を強力に展開していきます。私たちは、2050年カーボンニュートラルの実現と同時に、2050年までに海洋プラスチックごみによる新たな汚染をゼロとすることを目指しています。このためには、環境配慮設計から使用後の処理まで、ライフサイクル全体で対策を講じ、資源が循環し、エネルギー消費も抑えられる循環経済、サーキュラーエコノミーを構築する必要があります。 瀬戸内海では、海洋ごみ対策を広域で進めるモデルの構築を目指した、日本財団と岡山県、広島県、香川県、愛媛県の4県による共同事業である「瀬戸内オーシャンズX」を起点とした取組が始まっています。今日の連携協定もきっかけに、このような地域と企業の連携による新産業創出に向けた循環経済づくりをドミノ展開していきたいと考えています。協定の締結にご尽力された関係者の皆様に改めて感謝を申し上げるとともに、皆さんのような地域の方々と力をあわせて、脱炭素化に向けた経済社会のリデザイン(再構築)を進めていけることを期待して、私からの御挨拶とさせていただきます。
環境大臣 小泉 進次郎
Plas+tech project(株式会社テクノラボ)
捨てられている海洋プラスチックを二度と捨てられない美しい工芸品に「buøy」
1. 取り組み内容を具体的に教えてください
海洋プラスチックごみを材料にした製品の開発製造を行っています。
私たちの技術の特徴としては、海洋プラスチックごみの色や模様ををそのまま活かした
製品が作れるので購入者に対し「海洋プラスチックごみ原料」だということが分かりやすい商品がつくれます。
海洋ゴミの問題を知ると同時に、唯一の色や模様をもった
たった一つの製品に触れることで長く大切にしてもらうことを目的にしています。
2. 取り組みに繋がったきっかけを教えてください
私たちの本業はプラスチックメーカーです。
私たちが持っている知識や技術を活かしたアプローチができないかと思い取り組みを開始しました。
3. 取り組みを実際に進行する際のプロセスを教えてください
海洋プラスチックごみを材料にどんな製品であれば顧客がてにとるのかアイデアを出す
→ デザイン → 設計 → 金型設計 → 金型製造 → 成形
4. 取り組みの際に注意していることは何ですか?
海洋ゴミが材料という事を抜きにしても欲しいと思われる商品をつくること。
5. 取り組みに関してご苦労されていることはありますか?
海洋ゴミらしさをどの程度残しても人に欲しいと思われるのか品質基準が難しい。
6. 取り組んでよかったことは何ですか?
プラスチックをただ否定するだけではなく、プラスチックの長所も含め
今後プラスチックとどう向き合うべきか多くの人が考えてくれたこと。
7. 今、取り組みを推進するにあたり何が必要だと感じていますか?
海洋プラスチックごみ問題に対して自分にどんなことができるかを知ってもらう事。
8. 今後どのように発展していきたいですか?
各地域ごとの海ゴミ製品の開発をサポートし、地域の垣根を超えた支援の仕組みをつくること。
9.「プラスチック・スマート」に求めることは何ですか?
情報の集積
10.御社の取組を真似したい会社さんや人々に対して、こうすればうまくいくよ!などのアドバイスをお願いします
既存概念にとらわれず、製品や活動の魅力を深く掘り下げることが大切だと思います。
11.その他、ご意見等ご自由にお書きください
なにか一つの活動でプラスチックごみ問題が解決に向かうのは難しいです。
しかし、いろんな活動が盛り上がることで社会が動くことがきっとできると感じています。
海ごみゼロアワード2020にてAEPW賞を受賞しました。
その際の取り組み紹介資料もあわせてご覧ください。
取り組み紹介PDFはこちらから
https://uminohi.jp/umigomizero_award2021/pdf/umizero2020_TechnoLab.pdf
2020年受賞活動| 海ごみゼロアワード2021(日本財団 環境省 共同事業)
https://uminohi.jp/umigomizero_award2021/announcement2020.html
mymizu
使い捨てプラスチック消費を減らすことを始め、持続可能なライフスタイルを簡単に、楽しく!
1. 取り組み内容を具体的に教えてください
mymizuアプリは世界各地で約20万箇所の無料で給水できる場所
(公的水飲み場及び給水パートナーであるカフェ、お店、ホテル等)と
ユーザーを結びつける、外出中どこにいても気軽に水が補給することを可能にする、
環境にも、お財布にも優しい共創プラットフォームです。
給水することにより、削減できたペットボトルの本数やCO2排出量などもトラッキングできます。
mymizuはアプリを始め、ワークショップ、コンサルティングサービス、
教育プログラム、オンラインショップやコラボレーションを通し多くの人に
サステナビリティや環境保護の重要性について考えた上、
行動を起こすきっかけを作り、新たな社会の波を起こすことに取り組んでいます。
その中で、昨年ローンチした一つはプラスチック削減やSDGsに対する
企業や組織向けの新サービス「mymizuチャレンジ」です。
2. 取り組みに繋がったきっかけを教えてください
mymizuを始めたきっかけは、共同創設者のロビンとマリコが2018年に沖縄に行った時。
とても綺麗なビーチが大量のゴミ、主にペットボトルで汚染されていたことに衝撃を受けました。
世界的に注目されているプラスチック問題は遠い話ではなく、日本も直面しているものだと実感しました。
マイボトルを持っていれば、使い捨てのペットボトルに入った水を買う必要がないはず。
しかし、マイボトルに補給できる場所がなかなか見つからない。
「給水することをより便利にできないか」と思い、環境とお財布にも優しい、
プラスチック削減に繋がる解決策「mymizu」を考えました。
お水というのは、誰にでも必要で身近なものであり、
マイボトルに切り替えることは誰でも取れるアクションです。
プラごみ問題のような大きい環境問題にどのようにしたら個人として
取り組むことができるか悩まれている方が多い中、
誰にでも取れる最初の一歩を提案する取り組みにしたくmymizuを作りました。
3. 取り組みを実際に進行する際のプロセスを教えてください
mymizuアプリはユーザーが給水スポットの情報投稿することができる共創プラットフォームです。
一般ユーザーは公的水飲み場 (例:公園の水飲み場)を見つけた時、
アプリを通して情報(位置情報、写真など)を投稿することができます。
レストラン、カフェやホテルなどのビジネスをお持ちの方は、自分のお店などを
給水スポットとしてホームページより簡単に登録できます。
参加することで、この新しいエコシステムの発展に直接貢献することができます。
4. 取り組みの際に注意していることは何ですか?
環境危機は世界が直面している大きな問題。
問題のスケールが大きすぎて、希望を失う方々も少なくはないと思います。
でも、mymizuは一人一人がアクションを取ることにより、
どれだけのインパクトが生まれるのかを可視化しています。
コレクティブインパクトを可視化することにより、市場の新たなニーズが明確になり、
企業のビジネス戦略や行政の政策など、社会に大きな変化を起こすことが可能になります。
5. 取り組みに関してご苦労されていることはありますか?
私たちは、根の深い環境問題を解決するための新しい方法を切り開いており、
そのために革新的なビジネスモデルとビジネスプラクティスを工夫しながら、活動しています。
この様なビジネスのやり方には「前例」がないため、
私たちは常にクリエイティビティを生かしながら取り組んでいます。
幸い、私たちのビジョンに共感してくださるセクターを超えたパートナーに出会えたことで、
mymizuのムーブメントを幅広く、広めることができています。
6. 取り組んでよかったことは何ですか?
2019年9月のローンチ後「待ってました!」というような応援メッセージや
「こういう機能があれば嬉しいです。」などアイデアをくださる方もいて、
反響が想像以上に多く、とても嬉しかったです。
また、ご登録いただいています給水パートナーのカフェなどには
全て口コミやメディアを通してmymizuのことを知っていただき、
我々のビジョンに共感してくださり、自らご登録いただいています。
こちらからの営業なしで、ここまで給水パートナーのネットワークが広まったことにはとても嬉しく思います。
また、2020年はグッドライフアワードと海ごみゼロアワードと両方にて
環境大臣賞を受賞することができました。
このような名誉ある賞を頂戴し、光栄に思います。
7. 今、取り組みを推進するにあたり何が必要だと感じていますか?
プラスチックごみの危機は、私たちだけで解決できるものではありません。
私たちの役割は、貴重な原材料の過剰消費をめぐる問題をどのように捉え、
どのように取り組むかというシステム全体の変化を促進することです。
「循環型経済」、「持続可能性」、「再生経済」などの言葉が浸透する中、
社会的レベルにてプラスチックなどの原材料の消費に利益を結びつける現状のシステムを再設計し、
代わりに価値を生み出す創造的な方法を見つける必要があります。
私たちは、業界を超えたパートナーと手を組み、
mymizuを通してそれが可能であることを示していきたいと考えています。
8. 今後どのように発展していきたいですか?
一人ひとりが、自らの行動の大切さを意識するのが当たり前な真の持続可能な社会を作りたいと思っています。
マイボトルを持つことがはじめの一歩であり、小さな行動を積み重ねていくと、社会に還元されていく。
そうして、次の世代も、次の次の世代も、みんなが豊かな生活ができる社会に辿り着くのが目標です。
mymizuアプリはあくまでも、そのような社会に辿り着くためのツールの一つですが、
mymizuに参加することをきっかけとして、より多くの人たちに一人一人の行動の大切さを感じていただければ嬉しいです。
9. 「プラスチック・スマート」に求めることは何ですか?
新しい仕組みを作ることに興味を持っている、業界を超えたパートナーと繋がることが一つです。
また、これまで国民の3.5%が参加した活動は社会を大きく変えることに成功したと言われています。
プラスチックゴミの削減をはじめ、持続可能なライフスタイルを簡単に、楽しく、
実現できる世界を創ることに貢献したいパートナーと繋がることができれば、嬉しいです!
これまで国民の3.5%が参加した活動は成功してきました。
10. 御社の取組を真似したい会社さんや人々に対して、こうすればうまくいくよ!などのアドバイスをお願いします
新しい社会の「当たり前」を創り上げるためには、ただ新しい「もの」やサービスを提供するだけでは物足りません。
社会や経済システムのレベルで変化を起こし、
新しい消費行動を「当たり前」にするにはパーパスを求める21世紀の消費者のニーズを直接引き出し、
社会のどの要素を変えていく必要があるかを明確にする必要があります。
それらを一緒に実現することのできるパートナーと取り組むことが効果的です。
mymizuの場合、マイボトルの利用を「当たり前」にするには、マイボトルを提供するだけでは足らず、
給水パートナーと連携することによりマイボトルの利用と給水をより便利にすることが可能となります。
海ごみゼロアワード2020にて環境大臣賞を受賞しました。
その際の取り組み紹介資料もあわせてご覧ください。
取り組み紹介動画はこちらから
https://www.youtube.com/watch?v=QUuhUYyrKlU&feature=emb_logo
2020年受賞活動| 海ごみゼロアワード2021(日本財団 環境省 共同事業)
https://uminohi.jp/umigomizero_award2021/announcement2020.html