Internet Explorerでは当サイトは正しく動作しません。最新ブラウザへの更新をお勧めします。
に発見!プラスマアクション

廃棄されるはずだった漁網から鞄ができた。企業が連携した"アップサイクル"で海洋ごみを減らす

海を守るには海洋ごみ削減とサステナブルな企業活動の両立がカギ

北海道の漁師さんたちが使い終わった廃漁網から、糸を紡ぎ、布を織り、兵庫県で豊岡鞄へと再生するアップサイクル。引き続きアライアンス・フォー・ザ・ブルーの野村浩一さんにお話を伺っていきます。

海洋プラスチックごみを発生させないために

今回のアップサイクル、そもそもなぜ廃漁網に着目したのでしょうか。

「世界経済フォーラムの発表によると、世界で1年間に生産されるプラスチック商品は7,800万トン。問題は、使用済みのプラスチックのうち再利用されるのはわずか10%で、40%が埋め立て処分され、32%(2,500万トン)が海や山へ流出してしまっていることです。
海に流れ出るプラスチックごみがどこから来ているかというと、街から出るごみや漁業関係由来のごみ、例えば漁網やブイなどです」

廃漁網は本来、産業廃棄物として処理されます。しかし処分費用が高く漁師さんたちには大きな負担となるため、そのまま放置されることも多く、一部が海へ流出していると言われています。環境省の調査によると、プラスチック製のブイや漁網などの漁具の海岸への漂着が多く報告されています※。廃漁網を回収して海への流出をくい止めることが、海洋ごみを減らす第一歩になるのです。

※出典: 環境省「海洋ごみ実態把握調査とりまとめ」
http://www.env.go.jp/water/marirne_litter/c02_16_shiryo01-1sankou2.r2%20.pdf

サステナブルなものづくりには企業連携が重要

このアップサイクルプロジェクトは、回収、リサイクル、紡糸・織布、製品化まで複数の企業のリレーで実現したものです。

「サステナブルな取り組みをしたいと考える企業は増えています。しかし1社だけでは難しい。なぜなら、廃漁網を原料としたアップサイクル商品を製造する過程では原料、部品、加工、包材など複数の企業が関わってくるため、バリューチェーン全体・業界全体で取り組まないと解決できないのです」

同時に「経済合理性の確保も課題」と野村さんは話します。

「漁網回収→再資源化→商品化→販売―海洋ごみ削減というサイクルを回すには、一部の企業に負担をさせるのではなく、関連する全ての企業が収益を上げられるような仕組みをつくる必要があります。そのために付加価値のあるアップサイクルプロダクトに再生することが重要なのです」

廃漁網の再資源化の例でいうと、廃漁網を回収し再資源化すること自体は以前から行われていました。しかし、リサイクルされる商品は擬木の材料など低付加価値のものが多く、収益型のビジネスにするには難しい。また消費者に届く商品づくりにチャレンジしたくても、企画・開発力やそれに必要な資金やネットワークがない。アライアンス・フォー・ザ・ブルーはこういった課題を解決するために、業界横断的なプラットフォームとして個々の企業同士を結んでいるのです。

《企業連携のイメージ》



今後、海洋ごみを減らして美しい海を守るには、廃漁網の回収量を増やしていくことが必要で、そのためには漁網由来の再生プラスチックや生地の用途をいかに増やすかがポイントになります。現在、アライアンス・フォー・ザ・ブルーの協働企業は36社。豊岡鞄に関わった企業をはじめ、重工業、化学、食品、小売、出版など業種は多岐にわたります。そこから新しい企業連携のカタチをつくりアップサイクルを推進していくことが野村さんたちの課題です。

「協働企業である神戸シューズを展開する日本ケミカルシューズ工業組合さんやアウトドアブランドを展開する株式会社キャンバスさんで採用してもらうなど、いくつかのプロジェクトが動き始めています」

海を守るために求められるライフスタイルの変容とは?

2016年の世界経済フォーラムで、「2050年には海洋中のプラスチックごみの量が魚の量を超える」と報告されるなど、海洋ごみ問題は待ったなし。この解決のスピードを上げるためにはどうすればいいのでしょうか。

「現在の海洋ごみ問題は、資源や環境負荷を無視した20世紀型の大量生産・大量消費型社会が生み出したもの。サステナブルなものづくりへと移行することが必要でしょう」

「また、私たち消費者の意識・行動も変える必要がある」と野村さんは指摘します。
石油由来のバージン素材で作られるものは確かに安くて便利。しかし、「美しい海を次の世代の子どもたちへ引き継ぐためには、今を生きる私たちが"安くて便利"から"環境負荷が少なくサステナブル"なものを選ぶライフスタイルへと変容する必要があるのです」

北海道の漁師さんたちがわざわざ手間をかけて廃漁網の回収に協力してくれるのも、「海の恵みを享受している自分たちこそ、子どもたちに美しい海を残したい」という強い思いがあるから。その思いを込めたバトンが次の企業、次の企業へとリレーされ、豊岡へとつながりました。そのバトンを最後に受け取るのは消費者である私たちです。

アライアンス・フォー・ザ・ブルーのアップサイクル商品には、海と循環をイメージしてデザインされた「Product for the Blue」のロゴが付いています。

「Product for the Blue」のロゴ

「これからも我々の仲間が作ったアップサイクル商品がたくさん発表される予定です。ちょっと高額と感じるかもしれませんが、このロゴを見かけたら、「あ、海の環境に配慮して作られたものだ」と思い出してください。そしてよろしければ、我々の商品を選んでくださるとありがたいです」

Q.最近、女性誌などでよく見る
"アップサイクル"って、何?

元のモノより価値の高いモノにリサイクルすること。日本では、海洋ごみになりがちな"あるモノ"をおしゃれな鞄にしたアップサイクルが登場!詳細を記事で紹介!

私たちの身の回りにも、プラスチックスマートなアクションが溢れています!
身近なプラスマアクションを知ることから、はじめてみませんか?
に発見!プラスマアクション

廃棄されるはずだった漁網から鞄ができた。企業が連携した"アップサイクル"で海洋ごみを減らす

海を守るには海洋ごみ削減とサステナブルな企業活動の両立がカギ

北海道の漁師さんたちが使い終わった廃漁網から、糸を紡ぎ、布を織り、兵庫県で豊岡鞄へと再生するアップサイクル。引き続きアライアンス・フォー・ザ・ブルーの野村浩一さんにお話を伺っていきます。

海洋プラスチックごみを発生させないために

今回のアップサイクル、そもそもなぜ廃漁網に着目したのでしょうか。

「世界経済フォーラムの発表によると、世界で1年間に生産されるプラスチック商品は7,800万トン。問題は、使用済みのプラスチックのうち再利用されるのはわずか10%で、40%が埋め立て処分され、32%(2,500万トン)が海や山へ流出してしまっていることです。
海に流れ出るプラスチックごみがどこから来ているかというと、街から出るごみや漁業関係由来のごみ、例えば漁網やブイなどです」

廃漁網は本来、産業廃棄物として処理されます。しかし処分費用が高く漁師さんたちには大きな負担となるため、そのまま放置されることも多く、一部が海へ流出していると言われています。環境省の調査によると、プラスチック製のブイや漁網などの漁具の海岸への漂着が多く報告されています※。廃漁網を回収して海への流出をくい止めることが、海洋ごみを減らす第一歩になるのです。

※出典: 環境省「海洋ごみ実態把握調査とりまとめ」
http://www.env.go.jp/water/marirne_litter/c02_16_shiryo01-1sankou2.r2%20.pdf

サステナブルなものづくりには企業連携が重要

このアップサイクルプロジェクトは、回収、リサイクル、紡糸・織布、製品化まで複数の企業のリレーで実現したものです。

「サステナブルな取り組みをしたいと考える企業は増えています。しかし1社だけでは難しい。なぜなら、廃漁網を原料としたアップサイクル商品を製造する過程では原料、部品、加工、包材など複数の企業が関わってくるため、バリューチェーン全体・業界全体で取り組まないと解決できないのです」

同時に「経済合理性の確保も課題」と野村さんは話します。

「漁網回収→再資源化→商品化→販売―海洋ごみ削減というサイクルを回すには、一部の企業に負担をさせるのではなく、関連する全ての企業が収益を上げられるような仕組みをつくる必要があります。そのために付加価値のあるアップサイクルプロダクトに再生することが重要なのです」

廃漁網の再資源化の例でいうと、廃漁網を回収し再資源化すること自体は以前から行われていました。しかし、リサイクルされる商品は擬木の材料など低付加価値のものが多く、収益型のビジネスにするには難しい。また消費者に届く商品づくりにチャレンジしたくても、企画・開発力やそれに必要な資金やネットワークがない。アライアンス・フォー・ザ・ブルーはこういった課題を解決するために、業界横断的なプラットフォームとして個々の企業同士を結んでいるのです。

《企業連携のイメージ》



今後、海洋ごみを減らして美しい海を守るには、廃漁網の回収量を増やしていくことが必要で、そのためには漁網由来の再生プラスチックや生地の用途をいかに増やすかがポイントになります。現在、アライアンス・フォー・ザ・ブルーの協働企業は36社。豊岡鞄に関わった企業をはじめ、重工業、化学、食品、小売、出版など業種は多岐にわたります。そこから新しい企業連携のカタチをつくりアップサイクルを推進していくことが野村さんたちの課題です。

「協働企業である神戸シューズを展開する日本ケミカルシューズ工業組合さんやアウトドアブランドを展開する株式会社キャンバスさんで採用してもらうなど、いくつかのプロジェクトが動き始めています」

海を守るために求められるライフスタイルの変容とは?

2016年の世界経済フォーラムで、「2050年には海洋中のプラスチックごみの量が魚の量を超える」と報告されるなど、海洋ごみ問題は待ったなし。この解決のスピードを上げるためにはどうすればいいのでしょうか。

「現在の海洋ごみ問題は、資源や環境負荷を無視した20世紀型の大量生産・大量消費型社会が生み出したもの。サステナブルなものづくりへと移行することが必要でしょう」

「また、私たち消費者の意識・行動も変える必要がある」と野村さんは指摘します。
石油由来のバージン素材で作られるものは確かに安くて便利。しかし、「美しい海を次の世代の子どもたちへ引き継ぐためには、今を生きる私たちが"安くて便利"から"環境負荷が少なくサステナブル"なものを選ぶライフスタイルへと変容する必要があるのです」

北海道の漁師さんたちがわざわざ手間をかけて廃漁網の回収に協力してくれるのも、「海の恵みを享受している自分たちこそ、子どもたちに美しい海を残したい」という強い思いがあるから。その思いを込めたバトンが次の企業、次の企業へとリレーされ、豊岡へとつながりました。そのバトンを最後に受け取るのは消費者である私たちです。

アライアンス・フォー・ザ・ブルーのアップサイクル商品には、海と循環をイメージしてデザインされた「Product for the Blue」のロゴが付いています。

「Product for the Blue」のロゴ

「これからも我々の仲間が作ったアップサイクル商品がたくさん発表される予定です。ちょっと高額と感じるかもしれませんが、このロゴを見かけたら、「あ、海の環境に配慮して作られたものだ」と思い出してください。そしてよろしければ、我々の商品を選んでくださるとありがたいです」

Q.最近、女性誌などでよく見る
"アップサイクル"って、何?

元のモノより価値の高いモノにリサイクルすること。日本では、海洋ごみになりがちな"あるモノ"をおしゃれな鞄にしたアップサイクルが登場!詳細を記事で紹介!

私たちの身の回りにも、プラスチックスマートなアクションが溢れています!
身近なプラスマアクションを知ることから、はじめてみませんか?